今日、溶接は単に金属を接合するだけにとどまらず、金属素材の表面改質技術として、現代産業を支える重要な技術ポジションを確立しています。表面改質を目的とした素材表面への溶接のことを肉盛溶接といい、JISでは「母材表面に、硬化、耐食、補修、再生などの目的に応じた所要の組織と寸法の金属を溶着する方法」と定義されています。
●肉盛溶接の長所として、
(1)厚い被覆層ができる。
(2)作業能率がよい。
(3)設備が簡単で移動ができ、屋外作業が容易である。
(4)肉盛しようとする製品寸法に制限がない。
(5)操作が簡単で、高い技術を必要としない(自動肉盛)。
(6)とくに硬化性を考慮した母材を使用する必要がなく、経済的である。
(7)他の表面処理法と組み合わせて、より効果を上げることができる。等が挙げられます。
●一方、短所として、
(1)母材を溶かすので、母材により成分が希釈される。
(2)母材表面に高いエネルギーを与えるので、製品に歪みが生じる。
(3)合板に比べ、溶接特有の組成、あるいは組織となり製品品質に若干のバラツキを生じる。
(4)溶射法に比べれば、母材および肉盛材料に制限がある。
(5)小さくて複雑な形状の製品は肉盛しにくい。等が挙げられます。
これらの短所を考慮して、肉盛溶接は行われます。 |